ネット誹謗中傷トラブルの基礎知識-名誉毀損について

目次

1.名誉毀損とは

名誉毀損とは、公然と事実の摘示によって人の社会的評価を低下させる行為です。

名誉毀損は刑法上の犯罪になっています。

ネット上で他人を誹謗中傷した場合には「名誉毀損罪」が成立するとともに被害者に対する損害賠償義務も発生します。

2.名誉毀損の成立要件

名誉毀損が成立するには、以下の要件を満たす必要があります。

2-1.公然と

「公然と」とは、不特定多数の人が知りうる状況におくことです。ネット上の情報は誰でも確認できるので、ネットに投稿したら「公然と」の要件を満たします。

2-2.事実の摘示

事実の摘示とは、事実を提示することです。たとえば「不倫している」「窃盗の前科がある」「会社でミスをした」などは「事実の摘示」です。反対に「バカ野郎」「クソ野郎」などは事実を提示していない単なる罵倒なので、名誉毀損になりません。

2-3.対象の「人」

名誉毀損の対象となる「人」は自分以外の人です。家族に対しても名誉毀損は成立しますし法人相手でも名誉毀損になります。

2-4.社会的評価を低下させる

客観的に社会的評価を低下させるような内容である必要があります。一般的に「不倫している」「会社で失敗を繰り返している」「セクハラの常習犯」などは社会的評価を低下させる内容と言えるでしょう。

自分としては不快に感じるけれど、一般的な感覚で社会的評価を低下させるものではない内容なら名誉毀損は成立しません。

3.名誉毀損は親告罪

名誉毀損罪は「親告罪」です。親告罪とは、被害者が刑事告訴しない限り犯人が処罰されない犯罪です。

そこでネット誹謗中傷被害を受けて投稿者を名誉毀損罪で処罰してもらいたい場合には、警察で告訴の手続きをとる必要があります。そうしないと警察は捜査を開始しませんし犯人を逮捕することもありません。

4.名誉毀損罪の罰則

名誉毀損罪の刑罰は、3年以下の懲役または禁固もしくは50万円以下の罰金刑です。ネット誹謗中傷で初犯の場合には不起訴になる例も多数ですし、起訴されても略式請求で罰金刑になるのが通常です。

何度もネット誹謗中傷行為を繰り返し前科がついている悪質な場合には懲役刑や禁固刑が選択される可能性もあります。

5.名誉毀損されたら慰謝料請求が可能

ネット誹謗中傷で名誉毀損の被害を受けたら、投稿者に対して慰謝料請求もできます。匿名で投稿されているケースでも発信者情報の特定が可能です。

相手が任意に慰謝料を支払わない場合には訴訟を起こして追及できますし、名誉回復のために謝罪広告を出させるケースもあります。

以上が名誉毀損(罪)の概要です。参考にしてみてください。

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